介護業界の調査

高齢者介護について

                            2022年10月18日  延吉 良一
中小企業診断士の延吉です。

「介護業界」について調査してみました。ここにちょっと、紹介させてください。

1. 我が国の年齢別人口推計と平均寿命・健康寿命差

高齢者人口の推移
我が国の人口推移予測

日本では総人口減少の一方、75歳以上の高齢者の数は増加しています。平均寿命と健康寿命の差を要介護状態とすると、現在、男性が平均9.1年、女性が12.7年と長い期間介護サービスの利用者となります。多くの高齢者が長い間、介護のお世話になるのです。

2. 介護の現況

介護には要介護者の住居で行う在宅訪問介護と、専用施設で実施する施設介護があります。
(1) 在宅訪問介護
住み慣れた自宅居住や低費用といったメリットがある一方、介護家族の負担といったデメリットもあります。
(2) 施設介護
施設介護の代表的なものが「老人ホーム」です。これにもいくつもの種類がありますが、すべてで介護が受けられるわけではなく、入居条件や費用も異なっています。

老人ホームの主な種類

介護サービスを受けるための老人ホームには民間と公的施設があり、公的施設は費用が安いものの高介護度でないと入居できず、民間施設は費用が高額です。どちらも入居希望が多くすぐには入居できません。毎月の費用以外に、民間施設には入居時の一時金があります。

(3) 介護業界の現状

介護職員不足率

2018年度調査時点で、既に67.2%の介護事業所が人材不足と回答しています。  
都道府県別介護職員不足率の推移を左図に示します。
介護職員の不足率は全国的に増加が予想されますが、特に大人口の都道府県において顕著です。

次に、介護絶対数不足以外の課題について整理します。
〇 介護職員の高齢化
訪問介護員は、65歳以上が1/3以上です。実際、高齢の介護職員では対応が困難です。
〇 職員募集に対しての応募者の少なさ
平成30年の調査結果では、9割の事業所がヘルパーを募集しても応募がないと回答。
〇 離職率
介護業界の離職率は高く、特に小規模法人はその割合が高い状況です。
〇 増加は今後20年間という状況下 → 今施設投資をするか
2040年までの20年間の需要は増加。しかしそれ以降は減少。今時点での投資を躊躇。

3. 介護業界の今後

(1)政府の取り組み
2019年から技能や経験に応じ、公費投入により介護職員給与の改善に取り組むとあります。このことは介護業界にはグッドニュースですが、公費投入は、他の分野とのバランスがあります。CVID19、防衛力強化、気候問題、少⼦化などの問題を考慮すると、介護職員待遇の改善にそんなに資金は投入できないでしょう。
(2)我々個人の取組み
 今後のますますの長寿化と看護の負担増とを考えると、健康寿命をいかに伸ばすかが重要です。また、施設の不足を考えると、諸外国で主流となっている在宅介護へと移行する必要があります(そのためには訪問介護の充実が必要です)。 介護は家族や地域に頼ることとなるので、家族と仲良くしておくこと、地域との関りを密にしておくこと(ボランティアー活動への参加等)が大切です。
(3)介護事業者の取組み
 看護業界の人手不足解消には、① 仕事の効率化と② 従業員の確保・教育が必要です。
① 仕事の効率化
介護員の肉体的労働負荷改善のため、介護ロボットの導入等が提案されています。

介護ロボット

しかし、思ったほど普及が進んでいないのが実情です。主な理由は、単一作業(抱き起こし、排せつ、入浴、移動など)のロボットは開発されていますが、人間のようにいろんな作業を一人でこなすマルチ作業は不得手です。
ですから、大きな改善をパッとはできないので、地道にひとつずつ改善していくことになります。利用者のセンサー見守りや、作業報告をタブレットで行うとか、出退勤記録の自動化といった分野は進みつつあります。
② 若手従業員確保・教育による介護職員の増加
給与を含めた労働条件改善により介護職場の魅力度を高め若手従業員を確保。また、実地教育に加え、種々の国家資格取得を通して若手従業員自身の生涯キャリア形成を促すことで、介護能力の向上だけでなく誇りを持った労働意識醸成を図る必要があります。
介護分野は、個人の技術や技能に頼っていた部分が多く、教育活動が十分ではありませんでした。若手の早期戦力化や定着率向上のために、マニュアル化(すでにユーチューブにたくさんアップされています。動画ソフトを使って自社の作業を動画マニュアルにし活用しているところもあります)

4. 私はどうする?

現状の介護業界の問題点や、高齢者の急増により今後それはさらに大きくなることもわかってきました。では、この現状を踏まえて、前期高齢者である私自身はどうするか。
 やはり、体の健康を維持し、やりがいをもって過ごすことに尽きるでしょう。施設ではなく在宅介護を選択(よって家族は大切に、近くに良いお医者さんやケアマネさんを見つけておく。介護保険には使用枠があります。その範囲で最良のサービスを考えてくれるのがケアマネさんです)。在宅介護がむつかしい場合に備えて、良い介護施設を探しておくことも大事です。
誰しも、いつかはお迎えが来ます。それまで、なるべく看護のお世話になる時間を短くすることが、看護業界に貢献でき、本人にもとっても最も良いことでしょう。

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