クリーンエネルギー風力 その2

風力発電

 三浦湘南共創ネットワークの藤井です。前回の、風力発電の種類と日本での展開に続いて、風力発電の課題と対策について解説します。よろしくお願いします。

風力発電の課題

 風車を海上に設置しただけでは、どうしようもありません。まず、沖から送電線を引いてこないといけません。次に風力発電は、太陽光発電と同様、気まぐれです。いわゆるベースロード電源(原子力のように天候などに関わらずいつでも供給できる電源)ではないのです。※ちなみに潮力発電はベース電源として期待されていますが実用はまだまだ。

 そこで今、世界では風力発電の電力をいかに貯めておくか、が検討されています。風のある時に発電した電力をためておいて、必要な時には使うということです。太陽光でも家庭に蓄電池を設置したり、EVに充電したりして、貯めて使うというシステムが提案されていますよね。それをもっと大規模に効率的にやろうというわけです。

重力蓄電システム!?

 蓄電ってどうすりゃいいの! って話になりますよね。大量の電池を置いとけばいい、という話もあるんですが、環境負荷的にはバッテリーって疑問があります。数年で劣化して廃棄物が出てしまう。EVや家庭用蓄電池の問題点でもあるこの問題を解決しないと、サスティナブル電源とは言えないわけです。

 そこで、非常に原始的ですが効果的な方法が考えられました。重力蓄電です。重力エネルギーを蓄積するんです。なんか言葉がSFチックですが、UFOの使っているエネルギーみたいな超科学ではありません。高いところに重いものを持ち上げておくだけ! というシンプルなものです。要するに中学の理科でやる位置エネルギーです。

 下の写真は、Energy Vault社(米国)という企業の重力蓄電設備、スイスで実施されたデモの様子です。巨大なクレーンで1個35tものコンクリートブロックを、レゴのようにクレーンの周りに積み上げていきます。積み上げるには風力や太陽光の余剰電力を使います。下ろすときには、モーターを発電機として使って放電できるという仕組みです。

重力蓄電
クレーンで35tの重りを持ち上げる
重力蓄電
積み上げていく様子

 重力蓄電は、日本でも揚水発電所という形で実現されていました。太陽光発電のない時代、夜の電気が余っていたので、余った電力でダムなどの水を高い場所の池に揚げて、昼間電力不足になると、水を落として発電するものです。ただし水力発電なので、原理的に高効率になりません。また山の環境破壊なども起こりえます。

 この問題を超ローテクで解決してしまったのが、この重りを持ち上げる方式です。効率も最高にできる上、電池のように放電、劣化がないのが利点です。倒れない限りいつまでも蓄電していられるんです。

 三浦半島は、三方を海に囲まれています。東京湾や相模湾に設置された洋上風力発電の電力を蓄えておくに、適地だと私は思うのです。三浦市や横須賀市に、大規模な重力蓄電設備を設置する余地はないでしょうか? 環境破壊をせず、CO2対策ができる新しい施設ができないか。この重力蓄電設備は、かなり高い塔を伴うものなので、展望台や遊園地的なものとも相性がいいような気がします。設置場所は必要ですが、特にいわゆる公害を発生するものではありません。海にはたくさんの風車、半島には高い塔、地域の電力は、半分ぐらい風力で賄われ、蓄電もされているという脱炭素の未来を実現したいものです。

 実は、現在の洋上風力の先進国はデンマークではなくイギリスです。イギリスは、人口密度がそれなりに高く、陸上に設置する場所が少ないということで、政府が積極的に洋上風力発電を進めています。デンマーク、ドイツ、ベルギーとの共通の海である北海に、大規模な洋上風力発電所を建設する構想もあるそうで、第2の北海油田ともいわれています。海洋領土の広さではイギリスよりもはるかに大きい日本(世界6位のEEZ)も、これに負けない大きな構想を進めてほしいものです。

 お読みいただいてありがとうございます。少し浮世離れした話になってしまいしたが、とはいえ、脱炭素の未来は実現しなければなりません。私たちも何か協力できないものか考えてみるきっかけになればと思います。エネルギー関連は、もっと話がたくさんありますので、また書いてみたいと思います。乞うご期待。

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